タクシー物語 神奈川・東京・埼玉編

あるお客様との1ヶ月先のお約束

お客様が教えてくれた、人を信じることの大切さ

Y.Y

ある昼下がりの午後。
いつものようにタクシーを走らせていると、手を挙げるご年配の男性が。
お客様をお乗せし、「どこまで行かれますか?」と伺ったところ、
「すまないね」と意外な一言が返ってきました。
詳しく話を伺うと、近所を散歩中、急に腰が痛くなり帰れなくなったとのこと。
ただ、今お金を持っていないため、来月の年金支給日に支払いたいという相談がありました。

事務所に連絡をして対応を相談した結果、
この日は私がタクシー料金を立て替え、
来月の某日に私がお客様のところにお伺いするという形でお乗せすることに。
お客様のことを信じる気持ちもありましたが、1ヶ月も先の話なので、
お金を返してもらえなくてもしょうがないな、という気持ちでいたのも正直なところです。

そして迎えた約束の日。
待ち合わせ場所に行くと、そこにはあの日のお客様の姿がありました。
少しほっとした気持ちで駆け寄ると、まず封筒を渡され、
その中には5000円札が。
「料金は500円ですよ」と伝えると、
「封筒に500円を入れるのは失礼だから5000円入れておいたよ。
あの日、本当に困っていて、助けてくれたあなたへの感謝の気持ちだよ」と、
素敵な言葉をいただきました。
さらに、「これも良かったら」と文明堂のカステラの差し入れまで。
そんなお客様からのお返しに、心が温かくなりました。

人を信じることの大切さ。
そして、良い行いは、巡り巡って自分のもとに返ってくること。
そのことを実感した出来事です。

タクシー物語一覧に戻る

TOPへ