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公務員からタクシードライバーへの転職ってアリ? 元教員と元役所職員のドライバーに直撃インタビュー

タクシードライバーとして活躍している方の中には、
実は元・公務員という方もたくさんいらっしゃいます。
安定という印象が強い公務員の仕事から、
歩合給の割合が多いタクシーの仕事へ挑戦するには、様々な想いがあるかと思います。
そこで今回は、高校教師として42年間教壇に立ってきた佐々木さんと、
役所で25年以上勤めてきた遠藤さんの2人にインタビューを実施。
「なぜ公務員からタクシードライバーに転職したのか?」「転職時の不安は?」
「今、どんなやりがいを感じているのか?」など、リアルな体験談をお届けします。
CONTENTS
こんな方にオススメ!
- タクシードライバーに興味がある人
- 公務員からタクシー業界への転職を検討している人
- 定年後の仕事やセカンドキャリアに悩んでいる人
【今回取材した現役ドライバーをご紹介】
●佐々木さん
・年齢66歳 タクシードライバー歴:研修中(取材時)
・経歴:高校の教壇に立つこと42年。60歳で定年退職後、
再任用でさらに5年間勤務。定年後もやりがいを求め、
若いころから興味を持っていたタクシー業界へ。
入社前に二種免許を取得し、2025年4月に三和交通へ入社。
現在は研修を受けながらデビューに向け準備中(取材時)。
●遠藤さん
・年齢54歳 タクシードライバー歴:約1年(取材時)
・経歴:社会保険庁・日本年金機構で25年以上勤務。
企業対応や保険料督促などの業務を経験。
全国転勤への切り替わりを機に役所を退職し、2023年4月に三和交通へ入社。
地元・府中で乗務しながら、プライベートも充実させる働き方を実現中。
【公務員からタクシードライバーになった理由】
●教員時代について教えてください
(佐々木さん)
高校の教員として42年間働いてきました。
最初の4年間は特別支援学校に勤めていましたが、
その後は定時制を含む高校をいくつか異動しながら、
長く教壇に立ち続けてきました。
60歳で定年退職した後も、再任用という形で5年間勤務。
振り返れば、毎年新しい生徒たちと向き合いながら、
自分自身も成長させてもらった貴重な日々でした。
教員という仕事は、忙しいときは休みも取れず、
心身ともに大変なことも多かったですが、それでも
生徒の成長を間近で感じられるのが教員という仕事のやりがいだと思っています。
定年後の今も、生徒たちとの関わりが自分の財産になっています。
●教員からタクシードライバーになった理由
(佐々木さん)
タクシーに興味を持ったのは、実はずいぶん前のことなんです。
20年ほど前に見たテレビ番組で、年配のドライバーさんが生き生きと
働いている姿を見て、「こんな仕事もいいな」と思ったのがきっかけでした。
それからもずっと頭の片隅にはあったのですが、教員の仕事をしていると、
なかなか途中で他の職に移るのは難しくて。
でも定年を迎えて、ようやく“やってみたかった仕事に挑戦する”
というタイミングが来たなと感じました。
とはいえ、66歳という年齢で本当に雇ってもらえるのかという不安もあったので、
入社前に自費で二種免許を取得。それが功を奏したのか、
すぐに採用が決まり、新しい挑戦をスタートすることができました。
●役所時代について教えてください
(遠藤さん)
社会保険庁から始まり、その後は日本年金機構で長く働いてきました。
主な業務は、保険料の受付や給付の審査、
企業や個人への説明対応、督促業務などです。
窓口対応から訪問業務まで幅広く経験しましたが、
特に保険料の督促は精神的にきつかったですね。
相手が社長さんなど社会的地位のある方であることも多く、
言葉遣いひとつにも神経を使いました。時には強制的に徴収を進める場面もあって、
トラブルになることも少なくありませんでした。
仕事内容自体は公共性も高く、やりがいがなかったわけではありません。
ただ、「都内勤務」だったのが、いきなり「全国転勤あり」
に制度が変わり、北海道に異動することに。
2年間、函館で勤務しましたが、「このままでいいのか」
と考えるようになり、退職を決めました。
●役所職員からタクシードライバーになった理由
(遠藤さん)
転職活動では、地元・府中で働ける仕事を探していました。
そんな時、求人のスカウトメールで
「イベントドライバー募集」という内容に目が留まりました。
実は休日にスポーツボランティアやドラマのエキストラに参加するのが趣味で、
「イベントドライバーって面白そう」と思ったのが、きっかけです。
もともと人と接する仕事や、たくさんの人が集まる雰囲気が好きだったので、
「人に喜びを与える仕事がしたい」と思い、
タクシードライバーに挑戦してみることにしました。
【安定の公務員からタクシー業界へ。不安は?】
●安定の公務員からの転職。不安はありませんでしたか?
(佐々木さん)
正直なところ、「こんな年齢でも本当に採用してもらえるのか」
という不安は大きかったです。
だからこそ、すぐに採用が決まった時はホッとしました。
運転にはある程度自信があったのですが、
いざ研修が始まると「これは甘く見ていたな」と感じることも。
でもそれ以上に、知らなかった世界に飛び込んで新しいことを
学べるのは刺激的でしたし、今もワクワクしながら毎日を過ごしています。
(遠藤さん)
タクシー業界に対しては、歩合制の収入と勤務時間の長さに不安がありました。
特に1日の拘束時間が20時間と聞いたときは
「自分にできるのか?」と悩みました。
でも実際にやってみると、きちんと休憩も取れますし、
営業のコツも先輩から聞けるので思っていたよりずっと働きやすい。
今は精神的なストレスも少なく、収入面でも十分納得できる金額が稼げているので、
満足しています。
※隔日勤務を含むタクシードライバーの働き方については、
こちらの記事も合わせてご覧ください。
●三和交通を選んだ理由は?
(佐々木さん)
家から通える範囲でいくつかのタクシー会社を調べていた中で、
三和交通のホームページに書かれていた
「地域で一番やさしいタクシーを目指す」という言葉に惹かれました。
もともと教員をしていたこともあって、
「人の役に立ちたい」という気持ちは強かったですし、
教育現場で地域や家庭と関わってきた経験も
活かせるんじゃないかと思ったんです。
一番の決め手になったのは面接での出来事。
面接時に「家庭生活を大事にしながら働いてください」
と所長から言われたのが印象的でした。仕事より家庭を優先していいんだ、と。
また、面接時に内定をいただいて「ではお願いします」とすぐに返事をしたところ、
「今決めないで、家族と相談してから決めてください」
と言われたことにも驚きました。家に帰って妻にそのことを話したら
「そんな会社なら信頼できるね!」と背中を押され、入社を決めました。
(遠藤さん)
三和交通への入社を決めた理由は、人を大切にする社風です。
面接時には、退職まで数か月ある自分に「1年でも2年でも待ちますよ」
と言ってくれたのがすごく印象的でした。
そんなふうに人を大事にしてくれる会社なんだと感じましたし、
働き方も自分に合っていそうだと思って入社を決めました。
実は、就職活動は三和交通1社目のみで、
他のタクシー会社は見ていなかったんですが、
「売上も地域でトップクラス」と聞いて安心できたのも大きかったです。
入社後も、その言葉に嘘はなかったと実感しています。
※給与保障制度と三和交通が稼げるヒミツについては、こちらからご覧ください。
●未経験でも大丈夫?入社後に安心できたことは?
(佐々木さん)
最初に驚いたのは、接遇の研修が想像以上に丁寧だったことです。
「お客様を乗せる」ではなく「お迎えする」という考え方が根付いていて、
言葉遣いや所作のひとつひとつに意味があることを学びました。
私自身、教員時代は人と接する機会が多かったとはいえ、
タクシー業界の接客はまた別物。最初は戸惑いましたが、
研修では座学から同乗研修まで、実践的に学べるようにカリキュラムが組まれていて、
未経験の私でも安心して取り組むことができました。
年齢に関係なく丁寧に育ててくれる環境があるのは、
三和交通の大きな魅力だと思います。
※三和交通の研修については、詳しくはこちらからご確認ください。
(遠藤さん)
僕が入社したのは4月だったので、同期が3~4人いました。
同じタイミングで研修を受ける仲間がいるだけで、
気持ちがずいぶんと楽になりますし、今でも情報交換ができる関係性が続いています。
三和交通は接遇をとても重視していて、「ここまでやるのか」
と驚いたくらい徹底して教えてくれます。でも、それが自信につながるんですよね。
お客様対応がしっかりできるようになると、自然とトラブルも減りますし、
結果的に営業のしやすさにもつながっていると感じます。
【公務員からタクシードライバーへの転職はあり?なし?】
●教員時代の経験が活きていることは?
(佐々木さん)
タクシーの仕事は、ただ運転するだけではなく、
お客様とのちょっとした会話や気配りも大事な仕事です。
まだ研修期間中ではありますが、教員として生徒や保護者と向き合ってきた経験が、
そのままお客様への接し方に活かせるだろうと感じています。
特に「相手に合わせて言葉を選ぶ」「空気を読む」というのは
教員時代によくやっていたことですし、お客様によっては
無理に話しかけず静かに過ごしたい方もいらっしゃいます。
そういった“距離感”の取り方は、きっとこれから
自分の武器として役に立つだろうと思います。
※タクシードライバーに求められる接客スキルについて詳しく知りたい方は、
こちらの記事もご覧ください。
●役所時代の経験が活きていることは?
(遠藤さん)
役所に勤めていた頃は、企業の担当者や社長さん相手に
説明をする機会が多かったので、丁寧な言葉遣いや
ビジネスマナーが自然と身につきました。
タクシーでは、そういったビジネス層のお客様を乗せる場面も多く、
きちんとした対応ができることが信頼につながっている気がします。
また、地元・府中での業務経験が長かったこともあり、
企業名や場所を言われると「以前行ったことのある会社だな」
「あそこは、あの会社の近くだな」という風に、
すぐにピンとくるケースが多いです。
これはタクシードライバーとして自分の強みになっていると感じています。
●公務員とタクシードライバーの働き方の違いは?
(佐々木さん)
公務員時代は決められた時間に登校して、
決められたスケジュールで授業や会議が組まれていて、
毎日が“管理された時間”でした。タクシーの仕事はその点、
自分のペースで動ける部分が多いので、そこは大きな違いになるかと思います。
まだ研修中ですが、「今日のルートはどうしよう」「このエリアを攻めてみよう」
と考えるのは、今後の楽しみでもありますね。
(遠藤さん)
一番の大きな違いは、仕事を家に持ち帰らないことです。
役所では、たとえ勤務が終わっても「明日またあの件をどうしようか」
と頭の中が仕事でいっぱいになることがありました。
でもタクシーは、1日の業務が終われば、その日の仕事はそこで完結します。
オンオフのメリハリがつけやすいので、精神的にもだいぶラクになりました。
また、プライベートとの切り替えもしやすく、
休日もしっかりリフレッシュできます。
娘の誕生日には毎年ディズニーランドに泊まりで行くのが恒例行事になっていて、
一緒にライブに行ったりもできるようになりました。
以前は仕事が忙しく、平日に出かけるなんて考えられませんでしたが、
今はシフトの融通も利くので、趣味のエキストラ活動にも参加しやすくなり、
プライベートが充実しています。
※遠藤さんの他にも、当社で活躍するドライバーの休日の過ごし方を知りたい方は
こちらの記事もぜひご覧ください。
【タクシードライバーになって良かったこと】
●元教員から見たタクシードライバーの魅力
(佐々木さん)
タクシーの仕事を始めてよかったと感じるのは、
自分の新しい可能性に挑戦できていることです。
60代でまったくの異業種に飛び込むのは勇気がいりましたが、
今は「挑戦してよかった」と心から思えます。
研修での学びや、ドライバーとして必要な接遇の力を吸収していく中で、
自分がまだまだ成長できることを実感できるのが楽しいですね。
教員時代は常に“与える側”でしたが、今は“学ぶ側”としての充実感があります。
●元役所職員から見たタクシードライバーの魅力
(遠藤さん)
この仕事の魅力は、日々の中にちょっとした発見や学びがあるところです。
お客様との会話を通じて地域の歴史や新しいスポットを知ったり、
いろんな職業や世代の方と出会えるのも面白いです。
また、この仕事のもうひとつの魅力は、
「自分の工夫がそのまま成果につながる」ところです。
たとえば、イベント会場や病院の混雑状況を予測して営業ルートを考えたり、
地域の天候や友引などの日を意識して動くだけで、効率がまるで違ってきます。
前職ではどれだけ工夫しても評価が変わらない場面もありましたが、
タクシーは「自分の判断力」がそのまま結果に表れる。
そういう点に、やりがいを感じています。