お金のこと
タクシードライバーの給料ってぶっちゃけどれくらい? 年収から手取り、稼ぐためのコツまで詳細に解説します。
今回調査するのは、タクシードライバーの給料について。
タクシードライバーは
「稼げる人と稼げない人の差が大きい」「歩合制で給与が安定しない」
「稼げるけど、その分長時間労働をしないといけない」
なんてイメージを持っていませんか。
でも、実際にタクシードライバーがどんな給与体系で、
どんな風に稼いでいるか具体的に知っている方は少ないと思います。
そこで、「タクシードライバーの給料ってぶっちゃけどれくらいなのか」
年収から手取り、稼げるコツまで細かく調査していきます。
CONTENTS
こんな方にオススメ!
- タクシードライバーの収入に興味がある人
- タクシー業界で高収入を目指したい人
- タクシードライバーで稼げる方法を知りたい人
【タクシードライバーの収入ってどれくらい?】
さっそくタクシードライバーの収入について具体的に見ていきましょう。
とはいえ、一言でタクシードライバーの給与と言っても、
色々なパターンがあります。どのエリアで働いているか、
どんな働き方をしているか、経験はどのくらいかなど…。
そのあたりを踏まえながら、具体的な収入に迫っていきましょう。
●タクシードライバーの給与・手取りは?
まず気になるのは給与と手取りはいくらなのか。
まずは全国の平均値を見ていきましょう(※1)。
2022年(令和4年)の全国タクシードライバー
◎平均年収:361万3300円
◎平均月給:29万4100円
◎平均賞与:8万4100円
全国のタクシードライバーの平均値を見ると上記のような結果になります。
ここから手取り金額を計算していくと、
各タクシー会社の条件などによって異なってきますが、
大体【月額22万5000円~25万5000円】くらいになると想定されます。
国税庁のデータ(※2)によると、2022年の全国平均年収は
【年収458万円】、手取り想定金額が【月額26万6000円~30万8000円】
程度となるので、「タクシードライバーは稼げない」
と思った方もいらっしゃるかと思います。
ですが、実際のところ、各ドライバーの給与の幅は
かなり大きいのが実情となっています。
年収1000万円を超えるようなトップドライバーもいれば、
定年後のセカンドキャリアとしてパートとして少額稼ぐ人もいます。
では、通常はどれくらい稼ぐことができるか、
次は三和交通の実例をもとに見ていきましょう。
(※1)全国ハイヤー・タクシー連合会
「令和4年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」より
(※2)国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より
●三和交通のリアルな収入例を公開
では、三和交通の2023年の実績をもとにリアルな実例を見ていきましょう。
まずは三和交通に所属している全ドライバーの平均年収です。
三和交通2023年給与実績(平均値)
◎全ドライバー:平均年収533万円
タクシードライバーの全国平均と比べると、
かなり平均値が高いことが分かります。
首都圏エリアで知名度の高いタクシー会社という条件に絞ると、
年収帯がかなり高い水準になっていくようです。
さらに細かく見ていきましょう。
三和交通2023年給与実績(平均値)
◎新卒入社ドライバー:平均年収384万円
◎中途入社新人ドライバー:平均年収485万円
三和交通2023年給与実績(最高値)
◎全ドライバー:最高年収1264万円
◎新卒1~3年目:最高年収700万円
◎中途1~3年目:最高年収803万円
データを見ると、経験の浅いドライバーも
安定して収入を確保できることが分かります。
最高値を見てみると【700万円台~1200万円台】
とかなりの高年収帯となります。
収入の個人差が大きいタクシー業界では、
「どのタクシー会社を選択するのか」で、
貰える給与も大きく変わってきそうです。
●収入に地域差はあるの?
タクシードライバーの収入は地域差も大きいと聞きます。
では次に、地域でどれほどの差があるのか見ていきましょう。
引き続き、2022年(令和4年)の全国ハイヤー・タクシー連合会のデータを
参照して、トップエリアとワーストエリアの収入差を比較していきます。
<タクシードライバーの平均年収トップエリア>
1位 大阪府 平均年収437万1600円
2位 東京都 平均年収425万9800円
3位 兵庫県 平均年収399万1100円
4位 神奈川県 平均年収386万600円
5位 愛知県 平均年収385万4000円
<タクシードライバーの平均年収ワーストエリア>
ワースト1位 茨城県 平均年収208万4100円
ワースト2位 岩手県 平均年収215万400円
ワースト3位 沖縄県 平均年収232万6900円
ワースト4位 秋田県 平均年収237万4100円
ワースト5位 山形県 平均年収241万9400円
トップエリアは人口の多い主要都市が集まり、
ワーストエリアは人口の少ない地方都市となっています。
当然、タクシーは人が移動する手段となるので、
人口が多く、ビジネスマンや観光客など
タクシーのニーズが高いところのほうが稼ぎやすくなります。
逆に、人口や観光地が少なく、車社会の地方では
タクシードライバーとして稼ぐのは難しいといえます。
結果的に1位の大阪府と最下位の茨城県とでは、
平均年収に「228万7500円」もの差があることからも、
タクシードライバーで稼ぎたいなら働くエリアは
しっかり選択していく必要がありそうです。
●「稼げる人と稼げない人の差が大きい」は本当?
ここまでの情報を整理すると、
「個人の差」「タクシー会社の差」「エリアの差」によって、
収入の差は大きく変わってきそうです。
では、実際働いているドライバーたちの体感としてはどうなのでしょうか。
現役ドライバーに「稼げる人と稼げない人の差が大きい」
は本当なのかリアルな声を聞いてみました。
<現役タクシードライバーの声>
都心部と地方ではやはり明確な収入差が出てしまうと思いますが、
東京・神奈川・大阪などの大都市で働くタクシードライバーは、
「基本的に稼げる環境がある」ので、どちらかと言うと
「自分の稼ぎたい収入目標に合わせて働いている」人がほとんどです。
例えば私の場合は、「月40万円が目標なので、1日6万円の売上を目指して働き、
目標を達成した日は早めに帰る」といった感じで働いています。
「目標が月30万円なら、1日4万円の売上を目指す」
「目標が年収1000万円なら、1日10万円の売上を目指す」という具合で、
「稼ぎたいけど稼げない人がいる」というよりは
「自分の欲しい収入に合わせてそれぞれが働き方を決めている」
というのが実情だと思います。
【タクシードライバーの給与体系の仕組みって?】
タクシー業界では一般的に「歩合給」が採用されています。
「歩合給」とは、普通のサラリーマンのように
毎月決められた固定の給与が支払われるのではなく、
売上等に応じて給与が決められる給与システムのことです。
シンプルに言い換えると、
「売上が上がるほど給与が高くなる」ということです。
では、タクシー業界で採用される主な3つの給与体系を説明しながら、
歩合給での働き方について見ていきましょう。
●A型賃金【固定給+歩合給+賞与】
A型賃金とは、普通のサラリーマンと同様の「固定給」にプラスして、
個人の売上に応じた「歩合給」や「賞与」が反映される給与体系です。
この歩合給は、会社が設定した売上を越えた場合に発生し、
逆にノルマを下回った場合は固定給が減額されるケースもあります。
A型賃金のメリットは、固定給があることで給与が安定することです。
歩合給のみの給与体系だと、稼げた月と稼げなかった月の
波が激しくなる恐れがあり、それが精神的な不安や
プレッシャーに感じる人もいます。
また、一定の給与水準が分かると生活レベル(毎月の支出額)も
コントロールしやすく、生活が安定しやすくなります。
一方でデメリットとしては、完全歩合制(B型賃金)ほど
歩合率が高い訳ではなく、稼ぎにくくなります。
とにかく「稼ぎたい」というよりも、
「安定」を大切にする人に向いている給与体系と言えます。
●B型賃金【完全歩合制】
B型賃金とは、「完全歩合制」のことで、タクシー業界でいうと
売上や走行距離などに応じて給与が変動する給与体系となります。
A型賃金のように「固定給」はなく、
稼いだ分だけ給与に反映されるシンプルな給与システムで、
ベテランタクシードライバーに人気のある給与体系でもあります。
B型賃金のメリットは、一般的にA型賃金よりも歩合率が高く設定され、
高収入が稼ぎやすい点にあります。タクシードライバーになって
高収入を稼ぎたいと思っている方や、稼げるコツを熟知している
タクシードライバー経験者に向いている給与体系です。
一方デメリットとしては、給与が変動してしまうリスクがあります。
月によって給与が下がってしまう場合や、
それによって生活に支障をきたす恐れがあるので、
自己管理能力が問われる働き方でもあります。
●AB型賃金【歩合給+臨給】
AB型賃金とは、「A型賃金」と「B型賃金」を組み合わせたような
ハイブリッド型の給与体系です。一般的に「歩合給」をベースとして、
歩合給の一部が臨給(賞与など)として積立てられ支給される形となります。
AB型賃金は、明確に断定できる給与システムではないため、
タクシー会社によってA型賃金やB型賃金に近い形のものも多く、
様々なパターンがあります。
AB型賃金のメリットは、臨給として給与が積立てられ支給されることで、
B型賃金よりも安定度が増す点にあります。
さらに稼ぎやすさでいうとA型賃金よりも
歩合率が高い場合が多く稼ぎやすいという特徴もあります。
まさにA型とB型の「いいとこどり」をしたような給与体系と言えるでしょう。
一方デメリットとしては、
どっちつかずになる傾向になってしまう点が挙げられます。
安定志向の強い人にとってはA型より不安ですし、
稼ぎたい人にとってはB型より稼げません。
●「歩合制で給与が安定しない」は本当?
一言で「歩合給」といっても様々な給与体系があり、
自分の志向性やライフスタイルに応じて、
自分にピッタリの給与体系で働くことが大切なようです。
では次に、「歩合給で給与が安定しない」は本当なのか、
現役ドライバーにリアルな声を聞いてみました。
<現役タクシードライバーの声>
これまで働いてきて、コロナ禍などの緊急事態を除き、
月々でタクシーの需要が大きく変わり、
給与が月10~20万円ほど変動するなんてことは一度もありません。
タクシーというのは、電車・バスと同じ公共交通機関です。
日常的な移動の足となっているため、利用客は一年を通して安定しています。
特に東京・神奈川・大阪などの大都市では、
ここ10年以上タクシーの需要が増している実感が強くあります。
おそらく今後も「人口の増加」「ビジネスの活発化」「高齢化」
「暑さ・寒さ・ゲリラ雷雨等の気候変動」などの影響で、
タクシー需要はどんどん増していくと思います。
なので、都心で働くドライバーで「収入が不安定」「生活が不安」
と感じている人は、ほとんどいないと思いますよ。
【現役ドライバーに聞いた稼ぐためのコツって?】
ここまで、タクシードライバーの
リアルな給与額や給与体系について見てきました。
でも、人によっては、「本当に未経験でも稼げるようになるの?」
「もっと稼げるようになるにはどうすればいいの?」
「稼げるけど、その分長時間労働をしないといけないんじゃないの?」など、
不安や疑問が出てくるかと思います。そこで最後に、
「未経験でも稼げるようになった理由」と、
現役ドライバーからのリアルな声をご紹介していきます。
●未経験から稼げる理由
三和交通の給与実例にもあったように、現在のタクシー業界は
「未経験者でも稼ぎやすい」職場であると言えます。
その理由としては大きく3つの要因があります。
1つ目は、配車アプリの普及。
「GO」をはじめ「S.RIDE」「DIDI」「Uber」など
様々な配車アプリが多くの人に利用されるようになりました。
これにより、経験や技術が必要とされる
流しでの顧客獲得をする必要が少なくなり、
未経験でも安定して顧客を獲得できるようになりました。
また、2つ目の理由としては、教育システムの充実が挙げられます。
タクシー業界では2010年ほどから大手タクシー会社を中心に
新卒採用に力を入れるようになりました。
これまではドライバー経験者をターゲットに
中途採用をメインで行ってきましたが、新卒採用の推進によって
若手未経験者層の取り込みが積極的に行われるようになり、
結果的に教育体制が整うようになりました。
これまで属人的だった経験則やノウハウが共有され
体系化(マニュアル化)されたことで、
未経験でも稼げるコツを習得しやすくなったことが大きいです。
そして3つ目は、安定したタクシーの需要があること。
タクシーは、電車・バスにはない「ドアtoドア&個人空間」という魅力があり、
「利便性」「快適性」に優れています。
また、タクシー会社としても「タクシーアプリの普及」「福祉タクシー」
「観光タクシー」「お子様や妊婦さんが一人で乗れるタクシー」など、
人々の暮らしに寄り添った様々な付加価値を付けたサービスを展開しています。
「タクシーを利用したい」というニーズが安定してあることで、
未経験者でも安心して顧客を獲得できるという訳です。
●現役ドライバーに聞く稼ぐためのコツ1
【タクシードライバー歴5年 Yさん】
私はタクシードライバーになって5年ほどですが、
収入トップクラスのドライバーとして高年収を獲得しています。
その私が思う売上アップの秘訣は、「先輩ドライバーを真似すること」。
私が行ったことは、お手本となる先輩ドライバーを見つけ、
彼らから「会話の引き出し」や「お客様への対応の仕方」などを教えてもらい、
それを忠実に実行に移すことです。
話を聞くと、どれも当たり前のことばかりでしたが、
それらを実践することで仕事への意識が大きく変わりました。
入社当初は保証額にも届かなかった私の売上は、どんどん改善していき、
今では私生活でベンツに乗り、ロレックスを持つほどの収入レベルに。
まずは細かいテクニックよりも、意識を変えることが高年収への近道だと思います。
●現役ドライバーに聞く稼ぐためのコツ2
【タクシードライバー歴2年 Iさん】
私はまだ入社して2年ほどですが、
高収入ドライバーとして早期に活躍できています。
正直、まだまだタクシードライバーとしての経験は浅く、
細かいテクニックは分かっていません。でもあえて言うなら
「最初のあいさつ」をとにかく心がけて営業を行っています。
具体的には、「通常よりも1トーン高い声で元気にあいさつする」こと。
たったそれだけです。
でも、これを心がけてから売上はみるみるうちに伸びていきました。
タクシーは第一印象が本当に大切です。
ぜひ「最初のあいさつ」を意識してみてください。
●現役ドライバーに聞く稼ぐためのコツ3
【タクシードライバー歴10年 Kさん】
稼ぐための一番のコツは、「お客様がいる時間・場所を意識すること」。
その日のイベント情報や交通規制情報などは営業前に必ずチェックしています。
その情報をもとに、イベント終了時刻を狙ったり、車が混雑する道を避けたり、
いかに無駄のない走りをするかを大切にしています。
他にも「このビルに入っている会社の定時は17時で、
自宅までのロング(遠距離)のお客様が多い」
「この時間帯はアプリの注文が多いこのエリアに行く」など、
詳細なデータを集めることで、
効率的にお客様を獲得できる方法を考えて実践しています。
●「稼げるけど、その分長時間労働をしないといけない」は本当?
では最後に、「稼げるけど、その分長時間労働をしないといけない」
は本当なのか、その疑問に迫っていきましょう。
今回も現役ドライバーの方にリアルな実情をお聞きしました。
<現役タクシードライバーの声>
タクシードライバーと言っても働き方は色々。
プライベート重視なら、一般のサラリーマンと
同じくらいの時間に毎日定時退社する人もいますし、
私のように高年収をストイックに狙っている人は、
一般のサラリーマンに比べると長時間労働にはなりますが、
「今日は予定があるから早めに帰ろう」
「子どもの夏休み期間は早く帰ろう」など、
メリハリ付けて働くこともできます。そもそもタクシードライバーは、
目標やノルマもなく自分で好きに時間を決めて働ける仕事ですし、
たくさん働こうと思っても法令で労働時間の上限が
厳しく決まってもいますので「無理に長時間労働を強いられる」
ということはあり得ません。個人的には、接客が大好きなので
「お客様とおしゃべりしていたらあっという間に仕事が終わっている」
という感覚で、「楽しく働いてこんなに給料も貰っていいのかな」
というのが本音です。長期休暇も取れてプライベートも充実できるので、
正直「一度タクシードライバーを経験したら、普通の仕事には戻りたくない」
と感じると思いますよ。
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