
業界のこと
ITコンサルから20代でタクシー業界へ。 若手ドライバーが描くタクシー業界でのキャリアとは。

「タクシー=年配の仕事」
というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
けれど今、タクシー業界には20代の若手が続々と飛び込んでいます。
中でも異色の経歴を持つのが、三和交通で活躍する寺崎さん。
ITコンサルタントとして活躍していた彼が、
なぜタクシードライバーという道を選んだのか。
その背景には、「古い業界こそ変革の余地がある」という冷静な視点と、
自らの働き方を見直したいという思いがありました。
今回はそんな寺崎さんに、転職理由から仕事のやりがい、
そしてこれから描くキャリアの展望まで、じっくりとお話を伺いました。
CONTENTS
こんな方にオススメ!
- 20代でタクシードライバーに挑戦してみたい人
- 若手ドライバーの働き方やマインドを知りたい人
- タクシー業界の未来やキャリアに興味がある人
【今回取材した現役ドライバーをご紹介】
●寺崎さん
・年齢:29歳 タクシードライバー歴約2年(取材時)
・経歴:新卒でIT系のコンサルティング会社に入社し、
飲食業界を中心とした業務効率化の提案・導入支援に従事。
創業間もないベンチャー企業で幅広い業務に携わる中で、
将来の働き方や業界の成長性を見直し、転職を決意。
ITの知見を活かして貢献できる業界としてタクシー業界に注目し、
2023年に三和交通へ入社。
現在は東京営業所にて乗務を行うかたわら、
営業戦略の構築や将来のキャリアアップも見据えて業務に取り組んでいる。
【IT業界から20代でタクシードライバーへ】
●ITコンサルからのキャリアチェンジ
前職は、飲食業界向けに業務効率化の提案をするITコンサル会社で勤務。
レジのシステム導入や予約アプリの活用、
AIによる自動発注の仕組みなどを提案していました。
創業間もないベンチャー企業ということで、お客様への提案はもちろん、
会社の経営や経理に関することまで幅広い業務を経験させてもらい、
大きなやりがいを感じていました。
とはいえ、業務量が多すぎて1日18時間働くような日もあって、
さすがにこれを続けるのはきついなと。
特にコロナ禍をきっかけに経営が不安定になり、
自分の働き方や業界の伸びしろを考え、転職を決意。
“IT×〇〇”という視点で、自分の知識・経験が活かせそうな業界を探していた中で、
目に留まったのがタクシー業界だったんです。
●タクシー業界を選んだ理由と背景
ITってもう多くの業界に浸透していますけど、
タクシー業界はまだ完全に入り込めていない部分も多くて、
逆にそこに可能性を感じたんですよね。
当時、配車アプリが社会に急速に浸透し、インバウンドも拡大していく状況の中で、
「これから伸びていくぞ」っていう雰囲気が業界全体にあったのも大きかったです。
実際、今働いていてもGOアプリの配車はひっきりなしに鳴っていますし、
「タクシーのニーズが高まっているな」と肌で感じています。
また、実際に入社してみて驚いたのは、20代のドライバーが想像以上に多かったこと。
同じ営業所にも10人以上の20代ドライバーがいて、
自分より年下でバリバリ活躍している子もいます。
もちろん、父親世代の先輩もたくさんいますが、皆さんすごく優しくて話しやすくて。
雑談から情報共有まで、年齢に関係なく自然に交流できる雰囲気があって、
「若い人でもちゃんと活躍できる業界なんだな」って安心しました。
※タクシー業界の将来性や今後の動向について気になる方は、
こちらの記事もご覧ください。
●数ある会社の中で三和交通に決めた理由
タクシー業界の中でも、三和交通に決めたのは、
会社の雰囲気の良さと、地に足のついた経営姿勢に惹かれたからです。
歴史ある会社であり、独自の経営スタイルを持っていて、
「今後、成長が期待できる会社だな」と直感的に感じました。
前職が、経営コンサルに近い立ち位置での仕事だったので、
この視点は転職先を決める際の大事なポイントでした。
また、未経験でも安心してスタートできる研修体制が整っていたのも理由のひとつ。
地理や接客に関する研修はもちろん、印象的だったのは
「車いすのお客様への対応」を何度も実践形式で練習したこと。
そんなに多くあるケースではありませんが、
こういった研修の姿勢が三和交通のサービス力を高めているのだと思いました。
実際に車いすのお客様をお乗せする機会もあったのですが、
研修で練習したおかげで落ち着いて対応できました。
お客様にも「いつもよりスムーズに乗れて助かりました」と言っていただけて、
それがすごく嬉しかったです。
三和交通は、ただ乗務に出すだけじゃなくて、
「安心して送り出せる状態」をちゃんとつくってくれる会社だと思います。
未経験からでも自信を持って始められるって、やっぱり大事ですよね。
※三和交通の研修制度については、こちらをご覧ください。
【IT業界での知識・経験が活きていること】
●エリアごとの傾向分析から導く営業戦略
タクシーの仕事って、「ただ流して走るだけでしょ?」
って思われがちなんですけど、実は全然そんなことないんです。
僕の場合は、営業するエリアを選ぶときに、
天気や時間帯、周辺施設、曜日なんかを全部掛け合わせて考えています。
これは前職で鍛えられた分析力のおかげでもあります。
当時もお客様が営業する店舗の地域データに基づいた
販促プランを組んだりしていたので、
「どう動けば効果が出るか」を考えるクセが自然と染みついています。
タクシーもそれと似ていて、その地域の家族構成や
世帯年収などのデータを把握した上で、
例えば「今日は午前中に病院のあるエリアへ行ってみよう」とか、
「この時間帯ならファミリー層の多い場所に需要があるな」など、
自分で戦略を立てて営業するのが面白いんです。
●臨機応変な判断力と“提案型”の接客スタイル
IT業界にいたときって、正解が一つじゃない仕事が多かったんですよね。
お客様の課題をヒアリングして、複数の選択肢からベストな提案を組み立てる。
そういう“対応力”や“思考の柔軟さ”って、
実はタクシーにもめちゃくちゃ活きているんです。
タクシーって、お客様の年齢層や目的地、
急ぎ具合によって求められる対応がぜんぜん違うんです。
たとえば「静かに過ごしたい人」もいれば、「道を詳しく聞きたい人」もいるし、
「できるだけ安く行きたい人」もいる。
そういうときに、ただ運転するだけじゃなくて、
「この人は何を求めているのかな」って瞬時に判断して、自分の対応を変えていく。
それって、ある意味“提案型”の接客なんですよね。
前職で鍛えられたロジカルな思考とか、人の話をよく聞いて察する力は、
今でも無意識のうちに使っているなと感じます。
●先輩ドライバーからの“生の情報”も重要
自分なりにデータを分析して営業戦略を立てるのも大事なんですけど、
実はそれだけじゃうまくいかない場面もけっこうあるんです。
タクシードライバーだけが現場で肌感として持っている“生の情報”って、
やっぱりすごく重要なんですよね。
その点、三和交通は先輩ドライバーの皆さんが本当に情報共有してくれるので、
すごく助かっています。
「この場所で待っているとロング(長距離)のお客様が来やすいよ」とか、
「この時間帯なら、あの出口のほうが人が出てくるよ」みたいな、
データには載ってこないリアルな情報がもらえるんです。
最初の頃はそういうアドバイスに何度も救われましたし、
今でも積極的に先輩たちに聞くようにしています。
数字も大事だけど、人の経験も同じくらい大事。
その両方をバランスよく取り入れることで、
営業の精度がぐっと上がるんじゃないかと思っています。
【20代ドライバーが実感するタクシーの魅力】
●自分のペースで働ける自由なスタイル
前職のときは、毎日がとにかく忙しくて、
体調が悪くてもなかなか休めないような環境だったんです。
でもタクシーに転職してからは、隔日勤務っていう働き方のおかげで、
心にも体にも余裕ができました。
1回の勤務時間は長いですが、出番の次の日は明け番でほぼ1日自由。
週5日で働いていたときよりも時間の使い方が柔軟になって、
自分のペースで仕事ができるようになりました。
「今日は目標達成したから、ちょっと早めに切り上げよう」とか、
「この時間帯は少し落ち着くから休憩してから動こう」とか、
そういう判断ができるのもこの仕事の魅力だと思います。
しかも、しっかり営業すれば、その分きちんと収入にも反映されるので、
生活の安定感も大きいですね。無理なく働けて、しっかり稼げる。
「働きすぎないで稼ぐ」ってこういうことか、と実感しています。
※タクシーの隔日勤務について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
●趣味も仕事も両立できるワークライフバランス
タクシー業界に来て、自由な時間が増えたことで、
趣味の幅もぐっと広がりました。
今は社内の野球部に所属していて、
他社のチームと試合をするのも楽しみのひとつです。
小中高大とずっと野球をやっていたので、
またチームでプレーできるのはすごく楽しいです。
それ以外にも、キャンプや釣りにも挑戦していて、
「こんな時間の使い方もあったんだな」って、転職してから初めて気づきました。
前職ではとにかく時間に追われていたので、
趣味に向き合う余裕すらなかったんです。
でも今は、「今日は何をしようかな」って考えられる生活になりました。
隔日勤務制のメリットって、本当に大きいと思います。
仕事とプライベート、どっちもちゃんと楽しめているなって感じています。
※三和交通で働く社員の、プライベートの過ごし方をもっと知りたい!
という方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
●「ありがとう」がやりがいになる瞬間
お客様に「この道、揺れなくて快適でした」とか、
「このルートだと安く着いて助かった」なんて言ってもらえると、
本当に嬉しいです。
普段は無線での配車が中心ですけど、それでもルートをしっかり勉強して、
ナビに頼りすぎず安心して運転できるように意識しています。
それに、いろんなお客様と話す中で、自分の知らない世界の話を聞けたり、
同僚との雑談でも「そんな人生を送ってきたんだ」と
刺激をもらったりすることが多くて。
人とのやりとりを通じて、自分の引き出しが増えていく感じがします。
タクシーの仕事は、ただ“運転するだけ”じゃなくて、
人間的にも成長できる仕事だなって、最近よく思います。
【20代ドライバーが描くタクシー業界の可能性】
●変革期を迎えるタクシー業界の“今”
タクシー業界は、まだまだアナログな部分も多いんですけど、
その分“伸びしろ”はたくさんあると思っています。
今はアプリやデータで営業をサポートしてくれる環境も整ってきていて、
若い世代にとってはむしろやりやすい時代になってきていると感じます。
世間的には「古い業界」と思われがちかもしれませんが、
僕からすれば“今がちょうど面白い時期”。
まだ整っていない部分があるからこそ、自分の工夫やスキルが活かせる。
そんな“余白のある業界”だと思っています。
実際、IT業界にいたときは、競合も多くて、
いわゆるレッドオーシャンで戦っている感覚がありました。
でも、タクシー業界はこれからの成長フェーズにある業界。
いわばブルーオーシャンで、自分の強みや新しい視点を発揮できる場所なんです。
IT業界で培った分析力や課題解決力を活かして活躍できるフィールドは、
タクシー業界にも広がっていると感じています。
●将来は管理職や経営にも関わりたい
将来的には、管理職となって、
経営や営業戦略の部分にも関わっていきたいと思っています。
前職がコンサルだったので、会社の数字や仕組みを見て改善するっていう思考は、
ずっと自分の中にあるんですよね。
タクシー業界って、まだまだ仕組み化されてない部分も多いから、
そこを変えていけたら面白いだろうなって。
もちろん、まずは現場でちゃんと成果を出すのが大前提。
そのうえで、「どうしたら若い人がもっと入りやすくなるか」
「どうしたら現場がもっと動きやすくなるか」っていう視点で、
現場と経営の橋渡しみたいな役割を担えたらいいなと思っています。
タクシーって、個人プレーに見えて実は組織力も大事なんです。
だからこそ、自分が将来そういう立場になれたら、
今の経験がすごく活きると思っています。
●若い世代がもっと活躍できる業界へ
僕はIT業界から来ましたけど、だからこそこの仕事の奥深さに気づけたというか、
むしろ向いているなって感じることが多いです。
若い世代は、感覚的にもアプリやデータに慣れているし、
情報を使って戦略を立てることに抵抗がないと思うんです。
だからこそ、これからのタクシー業界で活躍できる余地はすごく大きいと思います。
しかも、ルールががっちり固まっていない分、
「こうしたらもっとよくなる」っていう発想をすぐに行動に移せるのも魅力です。
今のタクシー業界には、“変化を起こせる側”になれるチャンスがたくさんある。
そういう意味では、若い人ほど面白く感じられる仕事だと思います。
※タクシードライバーは気になるけど、自分にできるか不安・・・
という方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
【まとめ】
いかがでしたか?
今回は、ITコンサルという異色の経歴を持つ若手ドライバー・寺崎さんに、
タクシー業界への転職とその魅力についてたっぷり語っていただきました。
最先端の業界から“人を運ぶ”仕事へとフィールドを変えた今でも、
分析力や戦略的思考を活かして
日々の乗務に取り組む姿がとても印象的でした。
「自分で考えて、自分のペースで働ける。それでちゃんと稼げる。
今の自分にすごく合っている仕事なんです」と語る寺崎さんですが、
その視線の先には“業界そのものを変えていく未来”も
しっかりと見据えられています。
「まだまだ整っていないからこそ、自分の工夫や知見が活きる」
そう語る彼の言葉には、タクシー業界の可能性と希望が詰まっています。
この記事を読んで
「タクシー業界って意外と面白そう」「自分の力を試してみたい」
と思った方は、ぜひ一度、三和交通をのぞいてみてください。
若い力が、この業界をもっと面白くしていく。
そんな未来が、もう始まっています。